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日本の結婚式は海外とこんなに違う!?
~海外と比べて考えるこれからの日本の
ウエディング~

しあわせの総量を増やすことをミッションに様々な領域で事業展開しているリクルートマーケティングパートナーズ(RMP)。中でも会社の大きな柱であるブライダル事業が、少子化、グローバル化、価値観の多様化などの変化の中でさらに成長していくためには、これまでの枠にとらわれない発想と行動が求められるのは間違いない。そこで今回ブライダル事業は、海外の結婚式に詳しい外国人ゲストと日本の先端的ウエディングを展開しているウエディングプランナーを招き、「海外と比べて考えるこれからの日本のウエディング」をテーマにパネルトークを実施した。そこには、RMPがこれからの社会に対し提供できる新たな価値のヒントがあった。

2015-10-27

ゲストパネラー紹介
■スティーブンウォルシュ氏:Newsweekコラム二スト

1961年イギリス生まれ。翻訳家。87年初来日。イギリスで大学講師を務めた後、04年に再来日。現在はNewsweek日本版コラムニストとして活躍。「恥ずかしい和製英語」(草思社)などの著書がある。奥様は日本人で4児の父。

■星野有香氏:(株)テイクアンドギヴ・ニーズ Haute couture Design(オートクチュールデザイン)チーム ウエディングデザイナー

500名以上在籍するT&Gのトップウエディングプランナーとして活躍し、現在はHaute couture Designでこれまでの形式にとらわれない自由なスタイルの結婚式を手掛ける。これまで手掛けたカップルは、国内外の著名人を含む500組以上。

社内パネラー
■鈴木直樹 リクルート ブライダル総研 所長

■関矢裕一 ブライダル事業本部 営業統括部営業4部静岡グループ

ファシリテーター
■平山彩子 ゼクシィ西日本版編集長
 

外国人から見た日本の結婚式の魅力と違和感

平山 今日は「海外と比べて考える日本のウエディングとは」というテーマでお話しいたします。早速ですが、ウォルシュさんの「完璧過ぎる結婚式が日本をだめにする」という衝撃的な記事を読ませていただいたのですが、まずは日本の結婚式の違和感みたいなところを忌憚無くお聞かせくださいますか。

ウォルシュ すみません・・・(苦笑)。日本とイギリスの結婚式を比べて一番印象的なのは、日本は何もかも完璧だということです。時間にしても、この時間から始めるとか、誰が何をやるとか。全般的にその完璧さには驚きます。演出も美術を見ているように完璧でびっくりします。その中で特に私が違和感を持っているのは、出席するのにお金がかかり過ぎることです。ご祝儀の習慣のないイギリス人にとっては、あれはきつい。招待状が家に届くと、いつもうちの中は静かになってしまいます(笑)。あと、なんでドレスを3回も着替えるのか。ファッションショーみたいに感じてしまいます。

平山 確かに、花嫁が結婚式場からいなくなる瞬間がありますからね。

ウォルシュ あとはスピーチですね。イギリスでは真面目なスピーチはあまりないです。特に苦手なのは、新郎新婦が両親の前で感謝を伝えるスピーチです。あのスピーチに日本の皆さんはすごく感動するけれども、私は逆。あれはやめてほしいと思ってしまう。日本でも例えば電車の中で知らない若いカップルがラブラブで情熱的にフレンチキスをしていたら気持ち悪いでしょう?あれと同じような感じがします。お母さん、お父さんの前で「ううううっ」と。私はあまり好きじゃない。あれは違和感がありますね。でも私の奥さんは日本人ですからそれが大好きで、あれを見てもらい泣きしています(笑)。
 

平山 日本人からすると、花嫁の手紙の感動と、街中のカップルの濃厚なキスを見たときの感情は全然違うと思います。鈴木さんは花嫁の手紙をどう思われますか?

鈴木 この年になると、泣けない結婚式は物足りないですよね(笑)。半分、泣きにいくような感じもありますから、それがあって当たり前になっていますね。

星野 外国の方は日常的に相手に対してストレートに気持ちを伝える習慣がありますよね。でも、日本人は素直に感謝の気持ちや、「ありがとう」「愛している」という言葉を伝えることが苦手なので、結婚式の場を使って伝えているのだと思います。それがなければ“気持ちを伝えるタイミング”なかなか無いので、一般的になっていったのではないかと思います。

平山 海外の結婚式では、手紙ではなく新郎新婦が親御さんとダンスをする印象があります。お父さんと花嫁がラストダンスをしますよね?

ウォルシュ イギリスではあまりないですね。ただ、新郎新婦のダンスは必ずあって、それにはみんな感動します。その後、とても感動するのはおじいちゃんと孫が一緒にするダンスです。イギリスの結婚式では、世代と世代のつながりが大切なので新郎新婦はメインではなく、家族全員がメインみたいな感じです。

平山 結婚式のスピーチの話も出ていましたが、海外の方のほうがスピーチはお上手な印象があります。

ウォルシュ それは映画だけでしょう(笑)。アクターだからうまくできるんです。イギリスではベストマンスピーチ(新郎の付添人。一番の親友に頼むことが多い)が多いんですがこれが非常に危ない。新郎の昔の話、昔の彼女の話が出てきたりするので、けっこうヤバい(笑)。

平山 それはご家族もいる中で、言ってはいけないことをけっこう普通に言うということでしょうか。

ウォルシュ 普通に言う。だから、必ずおばあちゃんの耳に手を当てて、この部分は聞かないほうがいい、と(笑)。

日本の結婚式の新たな兆し

平山 星野さん、オートクチュールデザインで結婚式を挙げる日本の方は、花嫁の手紙やスピーチなど、通常の結婚式のスタイルと比べて何か変化はありますか。

星野 そこはなかなか変わらない部分でもあって、結婚式という場だからこそ普段なかなか言えないことを「しっかりと伝えたい」、「大切な人からの言葉をもらいたい」という考えを皆さんお持ちです。ただ、その伝え方は多様化しています。映像で伝えるとか、手づくりのものを贈るとか、その方法は人と違うことをしたいという考え方が増えてきています。でも、お世話になった方からの祝辞や一番大切な友達からのスピーチをもらいたいという要望は、変わらず多いと感じます。
 

関矢 結婚式場を担当する営業ですが、肌で感じることは「結婚式は非日常」だということです。普段では絶対にない時間が結婚式であって、それを実施するためには普段やっていないことをやらなければいけないんだみたいな認識がカップルにはあるようです。なので、普段照れくさくて親には言えない、ありがとうの気持ちをわざわざ手紙に書いて伝えてみたり、普段居酒屋では一緒に騒いでいるのに面と向かってちゃんと自分の生い立ちや「いままでこんなことがあったよね」という話をしたことがない親友に話をしてほしいという意見が結構出てくるんです。実際にカップルの方と話をしても、普段やっていないからこそやるべきなんだという固定観念があるのではと感じています。

平山 「普段やっていないからこそ」という部分と、「そういうものだ」という固定概念が混ざっている感じですかね。

鈴木 そうでしょうね。日本人には、僕も含めてですが、型の中にいると安心とか、みんながやっているからそこからはみ出るのがちょっと怖いとかというのがあると思うんです。結婚式のタイミングでないと言えないみたいなところが根底にあると思います。

平山 ゼクシィを編集していて思うのは、例えばスピーチも、もともとは上司や一番偉い方が話すという文化がありましたが、現状は自分のことを本当によくわかっている人に話してもらいたい、そういう人たちに話してもらう機会を作りたいという感覚の花嫁さんが多いように感じます。花嫁の手紙も、恥ずかしいから読みたくないという声も最近、増えているように感じますが、日本の花嫁の手紙のようにイギリスの結婚式でここは絶対に外せないみたいなことはありますか?

ウォルシュ 教会ならばバージンロードを歩くときは、みんな感動します。花嫁が入ると、「おお、きれいじゃないですか」とみんな一生懸命見ている。そして、式が終わった後のファーストキス。それは絶対に外せないですね。その後のファーストダンスとケーキのカットも重要です。最近はみんなで一緒に作り上げるのが多いです。出席者でケーキを作るのがうまい人がケーキを作ったりとか、飾り物をみんなで一緒に作るとか、そういうのはけっこう人気があるみたいです。
 昔は、ゲストが新郎新婦に新生活に使うものをプレゼントしていましたが、それはゲストの負担にならないようにだんだんなくなってきました。その代わりに、「もしプレゼントをどうしようかと考えているのならチャリティにお金を出してください」というシステムがある。新郎新婦が決まったチャリティを選ぶのですが、お金を出すとその代わりにNPOのチャリティから、すごく素敵なカードがもらえるんです。「ウエディングのチャリティのおかげで私たちが楽しい学校生活ができる」とか「きれいな水が飲める」といった声が届く。
 あとは子どもですね。子どもたちがいることもイギリスの結婚式では重要です。新郎新婦のお母さん、お父さんももちろん大切だけど、次の世代を担う子どもたちの存在が重要なんです。

星野 最近、弊社のウエディングプランナーが結婚式を挙げたときも、子どもをメインにしたウエディングでした。晩婚化が進んで結婚する年齢が上がっているということは、周りも家族を持った人たちが多くなるわけです。彼女は自身が子どもを産んでから、「家族の大切さ」を肌で感じていたからこそ、自分たちの結婚式には家族のいる人は全員一緒にファミリーで来てほしい、というウエディングだったんです。小学校でテントを立ててのウエディングだったので、子どもが20人以上来ても遊べる場所がたくさんありましたし、一つの教室を託児所みたいにして親御さんも安心して楽しんでいただけるよう工夫しました。また、お子さんがせっかく沢山参加してくださっているので、体育館で朝礼を行い子どもの演奏でみんなが歌を歌ったりしてパーティーがスタートしました。
 子どもたちを託児所であずかっている間に、お父様やお母様たちには内緒で、鼓笛隊の練習をしてもらい、一番大事な挙式のシーンで披露してもらいました。よくリングボーイやフラワーガールがご新郎ご新婦の前を歩きますが、その役割を参加した子どもたちに鼓笛隊、音楽隊として担ってもらいました。こっそり託児所で練習をして、おそろいのお洋服に着替えて、ゲストである親御様にもサプライズをしたんです。
 そういう演出によって、いらっしゃったゲスト(親御様たち)もとても喜んでくださったし、「大親友の結婚式に自分の子どもが参加できるなんて夢にも思っていなかった」というお話も聞きました。子どもがいても結婚式を挙げていいし、子どもがいるとこんなに素敵なウエディングになるということが、日本にもどんどん伝わっていくといいと思います。そういう、“次の世代に伝える結婚式”をこれからも手掛けていきたいですね。
 

平山 それはいい事例ですね。鈴木さん、ゼクシィも「パパ・ママ婚」を応援してきましたが、あの言葉が浸透してきたのは、いつ頃からでしたっけ?

今、日本のウエディングに足りないこと、そして大切にし続けること

鈴木 あの言葉をつくったのは五、六年前です。お子さんがいると結婚式へは消極的になってしまう。そこで、「パパ・ママでも結婚式をポジティブにやりましょう!」という思いを込めて名前をつけてみたんですよね。

平山 「パパ・ママ婚」という言葉が生まれた当時、私は編集者でしたが、事例、取材先を探すのが大変でした。でも、今はお子さんを連れたウエディングも珍しくありませんし、子どもゲストによる演出も数字的に見ても上がっていますよね。

関矢 たしかに増えてはいます。ところが、カップルはパパ・ママ婚をやりたいという希望を持つ一方で、結婚式場は実際それに追いつけずに悩んでいるように感じます。

平山 たとえばどういうことに、戸惑われるんですか。

関矢 カップルが自分達もやってみたいという漠然とした思いで結婚式場に足を運ぶと、「うちは離乳食を準備していません」とか「近くの託児所が空いていないので、うちでは受け入れられません」などです。ニーズはあるのに実際に受け入れ態勢がなくて、どうしたらいいのかと悩んでいる結婚式場が多いのが事実かな、と。
 

平山 テイクアンドギヴ・ニーズさんでは、そんな事例はありますか。

星野 幸いにも弊社は一軒家の貸切スタイルなので、空いている部屋を託児所としてベビーシッターを雇っています。でも、確かに他の結婚式場さんだと現実的に難しいということもあるんでしょうね。

関矢 ホテルであれば宿泊者もいますし、バンケットではほかの忘年会などをいろいろやっている中で、どうしても場所がない、見つからないというのが声としてありますね。

平山 イギリスでは子どもを預けることもしないんですよね?

ウォルシュ 結婚式の間、ずっと赤ちゃんが泣いたり、子どもが遊んだりしていますが、それも良いところじゃないですか。子どもが一番前に行って新婦の真似をしてみたり、変なこともしますが、それも可愛いからあまり気にしないですね。

平山 日本では小さいお子さんがいるときに招待を受けて、子どもを連れていっていいのかどうか悩むという声もよく伺います。先ほどのウォルシュさんの言葉でとても印象的だったのは、結婚式では次の世代が大事だということです。日本では今、「パパ・ママ婚」が広がっていますが、これは子どもができたことがきっかけに結婚を決意する人が増えていることにより、必然的に子どもと一緒に結婚式ができたほうがいいよね、というところから発生していると思います。結婚式で次の世代を大事にするという発想は日本ではあまりないかもしれないですね。

ウォルシュ 完璧な結婚式を求める人は、結婚式場に子どもが沢山いると大変でしょう。その辺、イギリス人は本当にアバウトで、逆にそれは可愛くてとてもいいと思っている。イギリスでは世代と世代、おばあちゃんとおじいちゃん、子どもたちをすごく大切にしていますね。
  

平山 日本では家族の人数が減っていて、親戚付き合いも薄くなっているように感じていますが、イギリスは四世代、あるいは親戚同士がいつでも集まるような文化なんですか。

ウォルシュ 私と奥さんがイギリスで結婚式をしようと考えたのは、久しく親戚とも会っていないし、私の昔の友達とも会っていないから。みんなで集まるために結婚式をやりました。友達の子どもにも初めて会えるし、おばあちゃんから孫まで集まりますから。ただ、最近ではイギリスも日本と同じように、海外での結婚式が人気を集めているようです。まずそのほうがずっと安いし人数も少なくてすむ。そういうのが増えてきたみたいです。

平山 ファミリー集結の日みたいな感じですか。

ウォルシュ それです。たぶん日本よりもみんなバラバラになるから、集まるチャンスがあまりない。だから、結婚式はまだまだ人気がある。

鈴木 極論を言うと、結婚式は絶対に必要なものではない中で、何のためにやるのかというのが国によって少しずつ違うんですね。日本はもともと家と家のためにやっていたけれども、それが二人のためになり、いまは周りのコミュニティも含めてそのつながりを確認し合うためというふうに変わってきています。イギリスでは家族の絆を確かめ合うというところが一番重要視されているんですかね。

ウォルシュ そうですね。もっと年上の結婚式もけっこうあります。子どももいたり、再婚だったりという結婚式もけっこう人気がある。私が感動したのは、この前あったイギリスでの結婚式です。「I do」の言葉は何と言うんですか。

平山 誓いの言葉でしょうか。

ウォルシュ そう、そう。それを新郎新婦だけでなくて、集まった結婚している人たちがもう一度みんなの前で言うのです。すごく感動しました。だから、イメージ的に結婚式は若い二人だけのものではないですね。

平山 日本につながるところもすごくあるんじゃないでしょうか。既存のスタイルに対してちょっと違和感を感じている人も増えていると思います。ウエディングスタイルのプランニングというところでいくと、オートクチュールデザインに来られる方は特に感度の高いカップルではないかと感じています。他のカップルとはどんな風に違うのかお聞かせください。

星野 私は“一般的な結婚式場ではない場所”で挙げたいというカップルが対象にはなるんですけれども、やはりご新郎ご新婦の年齢層が上がってきているので、様々な結婚式に参列し尽くしてきた方たちが多く、それだけに“今までと違うウエディングにしたい”という声が多いです。また、ネット社会が進む中で、誰もが世界中のウエディング情報をを簡単に収集できるようになっているので、日本にないなんとも言えない緩い空気感や自然の中でのウエディングスタイルに憧れているカップルも増えています。

ウォルシュ いままで一番おもしろい結婚式が行われたのは、どこですか。

星野 美術館や学校、ビーチ、ローズガーデンなど様々な場所で行っています。最近では、「彼の実家がお米をつくっている農家で、そこでお世話になっている酒蔵でウエディングをしたい」というご依頼なんかもありました。今まではゲストへ感謝の気持ちを「結婚式の中の演出でどう伝えるか?」ということが中心だった日本の結婚式ですが、場所探しからスタートすることで「今までに体感したことのないことを一緒に経験する」という、感謝やおもてなしの表現が可能になってきました。

平山 場所にストーリーを持たせるという選び方をされる方は、まだ日本ではそんなに多くはないかもしれませんが、イギリスでは皆さんは結婚式場をどのように選んでいるんですか。

ウォルシュ 教会が決まってその近くという感じですね。僕たちはイギリスに住んでいたときに故郷から離れていたから、みんなが一緒に集まるところがあればいいと思い、結局、7万2000人も入るところで結婚しました。マンチェスターユナイテッドのサッカーグラウンドです(笑)。家族はみんなサッカーが大好きだから。でも、試合のときはチケットが手に入らないし、すごく高いから、貸切でみんな行こうよ、と。それで子どもたちがすごく喜んでいました。

平山 それは面白そうですね。結婚式場選びも、家族みんなで楽しむ気が満々ということですね。日本でも場所へのこだわりが少しずつでも出てきているのかなと思いますが関矢さん、どうですか。

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知らないゲスト同士のしあわせも膨らませる新たな取り組み

関矢 場所もそうですが、場所以外の兆しとして「時間」がいま出てきています。きっかけはある結婚式を挙げられた新郎新婦の親御さんの、「結婚式の当日は本当に暇なんだよね」という一言でした。挙式、披露宴は全然暇ではありませんが、それ以外の時間が非常に暇だ、と。どこかに遊びに行くわけにもいかないし、かといって終わった後、遊びに行く体力もないし、「暇なんだよね、この時間」と言われたんです。そういうことから、その時間を有効活用できたら、カップルのやりたいことがもっともっと実現できるんじゃないですかという話を、実際にいま結婚式場としているところです。

星野 台湾人のカップルを去年、バリで担当させていただいたのですが、日本では通常「結婚式の時間の中でゲストの方にどう感謝の気持ちやおもてなしを伝えるか」という考え方なのに対して、そのカップルは結婚式を行う1日だけではなくて、4泊5日のトラベルを全ておもてなしとしてゲストにプレゼントしたいと考えていました。これも今までの日本人にはない考え方で、おもしろいウエディングスタイルだと思います。期間中の一日一日、全部にテーマを決めて、この日は何を感じてもらう日というのを明確にして、ご新郎ご新婦の想いをカタチにしていくのです。「トラベルウエディング」と私たちは呼んでいるのですが、そういう考え方も面白いと思います。ご両家の親御様や友人たちゲストが一緒にゴルフをしたり、何かアクティビティを楽しむことによって、結婚式を迎えるまでにみんなの絆がどんどん深まって、ご新郎ご新婦への祝福の温度も上がっていきます。最終のウエディングの日には特別な演出やサプライズがなくても、美味しい食事とお酒、そして音楽があれば幸せと感じられる時間になるのかなと思いました。

関矢 結婚式場の回転率だけで見てしまうと難しい部分がありますが、僕らがいま進めているのは、“タイムトラベルウエディング”です。ゲストがその日一日を過ごす時間と新郎新婦の過去、現在、未来を結婚式の当日に全部合わせられたら面白いねという話の中で、結婚式場に来なくても過去は体感できるんじゃないかと考え、親族だけは結婚式場に来る前に新郎新婦が行ったデートスポットをバスチャーターで巡ってもらって二人の過去をたどり、両家の親睦を深め合ってもらいましょう、と。
 一方、ゲストはまたゲストで違う場所に行ってもらって、新郎新婦の馴れ初めがわかる仕込みを街中にしておくとか。結婚式場の場所は限られているので、それ以外のところで確保できたら一日の中でタイムトラベルが体感できるといった取り組みもやっています。
  

平山 すごいですね!そんな新しい提案をされているんですね。いまのバスツアーの話、バスガイドさんがついてくれて茶化しながら結婚式場までゲストを送ってくれたらいいなとすごくイメージがわきました。

鈴木 そういう手があったかと改めて思いました。一、二年ぐらい前に学生さんに聞いたときに、「大人数で結婚式はやりたくないです」と。なぜかと聞くと、知らない人同士が同じテーブルにいると気を遣わせるから、やるのならコミュニティごとに何回かに分けてやりたいですという学生さんがいらっしゃったんです。これは少人数のほうに向かってしまうなと思っていたんですけれども。
 しかし、トラベルウエディングもそうですが、そういうニーズや思いに対するソリューションはありますね。単純にこういうニーズだからこれでなければだめというのではなく、そこの真意をひもといて提案し続けるというのが大事ではないかと改めて思いました。だって、いまの話を聞くとやってみたいものね。

平山 行ってみたいですね。

鈴木 仲よくなって帰りたいじゃないですか。僕が知らない新郎新婦の一面も知ることができるだろうし、その友達がもっと好きになって帰れると思う。

平山 だんだん日本の結婚式もそうやって変わっていくのだと思いますが、ウォルシュさんから見て、日本の結婚式のここは大事にしたいというのは、どういうところでしょうか。

ウォルシュ 私はイギリス人だからスピーチは嫌ですが、日本の結婚式が非常にスタイリッシュなのは、すごくいいところだと思う。センスがいい。花や色の選び方もいいし、食事もおいしい。イギリスの結婚式の食事は……。だから、食事はそのまま大切にしたほうがいいと思う。

平山 確かに、お料理にこだわられる方はとても多いです。星野さんはこれからの日本の結婚式をどう捉えていますか。

星野 グローバル化が進む中で、海外のビジュアルを真似したい人が増えてきます。ただ、そのビジュアルだけが先行して、いままで日本人が大切にしてきた「言葉で伝える」ことなどがなくなってしまうのはちょっと寂しい。形だけにこだわるのはいやですね。日本人が大切にしている「伝える」ということやゲストに対するおもてなしは、私たち結婚式をつくる側も大切にしながら、海外のウエディングのスタイルと融合していくようなウエディングをつくっていけたらいいと思っています。

平山 ありがとうございます。関矢さん、最後にいかがですか。

関矢 全然答えは見えていないんですけれども、ウォルシュさんや星野さんのお話を聞いていて、僕らがとらわれていたらだめだなとすごく感じました。感謝を伝える、家族が集う場にするという目的は変えずとも、その手段はいくらでも考えればあるんだなと改めて感じたので、提案する身としてはとらわれずに、とりあえず「これはどうだ。これはどうだ」と出すだけ出してから、それでやれる、やれないという話にしていけば、着地点は全然見えませんが、しあわせの総量は増えるんじゃないかと思います。

平山 ありがとうございます。私にとっても今日はヒントが沢山あり、考えるきっかけになりました。もちろん答えがすぐ出るものではありませんが、結婚や結婚式において、このまま大事にしていくことと変えていってもいいこととを意識しながら、編集も提案もそれ以外の議論も進めていければいいのかなと改めて感じました。
 

【パネルトーク観覧者の声】

●結婚式の違いは、国民性によって差があるなと感じました。最近海外のような結婚式が人気ですが、そのまま海外の結婚式を取り入れても日本人に受け入れられないことがよくわかりました。

●日本人は海外の方に比べると、国民性が薄いと言われますが、両親の手紙やスピーチ等日本人ならではの部分がなくなると物足りなさを感じるものだと思うと、国民性が薄いわけではないと感じました。

●外国のウエディングとの比較の中で、普段はストレートなコミュニケーションをしない日本人が、結婚式だからこそ「伝える」ことができるという話があり、日本の結婚式の重要性や、素敵さを感じることができました。

●海外から見た日本の結婚式の違和感を指摘いただくことにより、今の日本の結婚式の違和感がより明確になりました。今後につながるヒントもたくさんあって、本誌の企画案10案分くらいのメモが取れました。

●二人とゲストの関係性(贈り贈られる日本の風習が関係している、ご祝儀のこと)によって二人の選択肢が狭まってしまっている話も、改めて考えると大変ショッキングで、日本のウエディングが抱える大きな問題の一つだと思いました。そこを変えていくのは一朝一夕でできることではないと思いますが、いろいろな可能性を探って少しずつ働きかけ、多様性を持たせることで、披露宴実施率の向上にも繋げることができるのではないかと思います。

●海外の結婚文化や価値観の話に触れる機会がそもそもあまりなかったので、とても面白かったですし、勉強になりました。日本の結婚式が完璧すぎる!というのはある意味日本らしいと思いました。確かに日本の結婚式はせわしなくコンテンツがあって落ち着かないかもしれないと思いました。ただ一方で日本の結婚式が悪い、海外が良いみたいなことでもなく、文化や国民性にあったやり方がある中で凝り固まらずに可能性を広げていくのが大切だと感じました。

●日本とイギリスという国の違いや文化的背景の違いはあるものの、フラットに今の日本の結婚式の不を気づかせてもらうことで、もっと新郎新婦やゲストにとっても素敵な結婚式を実現するきっかけになったと思う。ここで出たアイデアをカップルやクライアントに届けることで、結婚式を少しでも進化させることがゼクシィの介在価値にもつながると思う。
 

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