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RMP FEATUREサプリ

勉強サプリ×NPO法人カタリバ。
ICTの活用で子どもの未来を切り拓く。

東日本大震災から4年。未だ多くの方々が仮設住宅で暮らす岩手県大槌町でこの夏、子どもたちの未来を支援する新たな取り組みが一歩を踏み出した。リクルートマーケティングパートナーズが運営するオンライン教育サービス『勉強サプリ』と、認定NPO法人カタリバが主催する被災地の放課後学校『コラボ・スクール大槌臨学舎』が協働で実施した『無料夏期講習講座』だ。被災地にいながら、一流教師の授業動画が受けられる。「私たちのサービスの思想とまさに重なる取り組み」と語る、勉強サプリプロデューサーの中野慧(けい)にサービスへの思いを聞いた。

2015-08-29

ICTの活用で、教育の地域・経済格差を解消。
被災地の子どもたちに、学ぶ喜びを届けたい。

『勉強サプリ』とは、小学4年生から中学3年生を対象に、月額980円(税抜)で経験豊富な一流の先生による授業動画やドリルなどを提供するオンライン教育サービスのこと。高校生向けに2011年にスタートした『受験サプリ』から派生し、2015年3月にリリースした。いずれも目指すのは、ICT(情報通信技術)の活用で教育の地域格差、経済格差を解消すること。岩手県大槌町の『コラボ・スクール大槌臨学舎』からの相談は、その思想にぴったり一致するものだった。

「『勉強サプリ』と組んで何かできないかとお話をいただいてすぐ、詳しくお聞きしようと現地にうかがいました。快速電車の停まる釜石駅からは、車で約30分。道中に走る沿岸部は見渡す限り更地のままで、住民の方々の多くは今も仮設住宅で暮らし、子どもたちは放課後、勉強する場所がない。彼らと話して、『学びたい』という素直な欲求を強く感じました。一方、コラボ・スクールは先生の確保に悩んでおられた。これはぜひお手伝いしたいと、協力を即決したんです」

こうして10日間の無料夏期講習講座が実現。小中学生あわせてのべ59名が受講した。スクールスタッフによると、「(高校受験を控えた)中学3年生のみならず、小学生も集中して観てくれていました。最初はざわざわしていた教室も、皆が授業を観るにつれ静かになっていったのが印象的です」。子どもたちからも「楽しかった。また使いたい」「自分のペースで勉強できてよかった」と好評で、2学期以降も継続利用が決定した。いつの日か、彼らの中から未来の復興のリーダーが生まれることが、コラボ・スクールの願い。志を共にする『勉強サプリ』の伴走は続く。

サービスへの思いを支える"原体験"。
『勉強サプリ』が子どもの未来にできること。

子どもたちの学習支援に中野が情熱を注ぐ根底には、自身の原体験がある。家庭の事情で高校を中退。同級生が受験勉強に突入する中、日雇いアルバイトで早朝から深夜まで働いて予備校代を稼いだ。そして、大検(高等学校卒業程度認定試験)の認定を経て、東京大学に現役合格。

「学びたくても学べなかった体験が、私の原動力になっています。日雇いアルバイトで働いている際に、学歴社会の一面も垣間見ました。子どものころの教育格差が、その子の人生そのものを左右するようなことがあってはならない。被災地の問題もそうです。教育環境いかんでは、この先10年、20年と子どもたちの将来に震災が影を落とすことになる。そうした格差をICTで解消し、すべての子どもたちに、最高の教育に触れるチャンスを届けることが私の願いです」

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中野 慧

勉強サプリプロデューサー

子どもの教育問題に関心を持ち、東京大学の後期課程では教育学部に進学。卒業後は、実社会を広く見るために、外資系経営コンサルティング会社に入社し、企業買収・再生案件などを手掛ける。2014年にリクルートに転職。勉強サプリの責任者として、サービス開発と中長期成長戦略の立案、実行推進を担う。

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すべての子どもたちに"希望と可能性"を。
保護者も巻き込んだ教育改革。

子どもたちの学習を阻む、地域格差と経済格差。そしてもう一つ、『勉強サプリ』が挑むのが"モチベーション格差"だ。子どもたちはみなオギャーと産まれ、目に入るものすべてに興味を持ち、好奇心いっぱいに育っていく。はずなのに、なぜ学習意欲に差が生じるのか。モチベーションはどうすれば高まるのか。

「その答えの一つとして、私たちは家庭でのコミュニケーションに注目しました。小中学生共通で、保護者の声かけの内容でモチベーションが左右される傾向が非常に強い。だから、きちんと子どもが頑張っている内容を理解してあげたうえで、褒めてあげることが大事。それも、具体的に褒めることがポイントです。一方で、保護者の方々からは子どもが勉強している内容や、そもそも褒め方がわからないという声が聞こえてきた。そこで『勉強サプリ』では、学習のログデータを解析して『前回できなかった単元を今日はクリアしました』など褒めるポイントを抽出し、メールで知らせる『まなレポ』というサービスを提供しています(※)」
※小学生向け限定サービス

「学ぶことを好きになってほしい」という中野の視線は、はるか先、子どもたちの未来に向けられている。「学生時代は限られた期間ですが、社会人である期間はとても長い。モチベーション高く学び続ける人とそうでない人とでは、10年後、20年後に大きな差が生まれます。そうした学びの基本姿勢は、小中学生時代に培われるもの。非常に大切な時期なのです」

学ぶことを好きになるということは、自分の可能性を信じ、学んだ先にある未来に希望を持つということだ。そのために、『勉強サプリ』では『まなレポ』以外にもさまざまな仕掛けに取り組んでいる。「例えば、二次方程式がわからない原因は一次方程式かもしれないし、因数分解かもしれない。子どもによって異なるつまずきの真因を学習ログの解析で突き止め、『わからない』を『わかる』に変えて小さな成功体験を積む。東京大学のビッグデータの研究室と組んで、精度向上のための研究開発を進めているところです」

また、同じく協力を得ている石戸奈々子氏によると、今の小中学生が大人になるころには、現在の職業の65%は存在しないという。
「想像もつかない未来を生きる力を身につけるために、ロジカルシンキングなどを学ぶ『未来授業』を提供しているのも『勉強サプリ』の特徴です。主要5教科を超えた学びの必要性を保護者の方々にも理解していただけるよう、保護者向けの講座も用意しました。教育格差の解消だけでなく、日本の教育そのものの底上げを狙っているんです」

現在、『勉強サプリ』は、被災地支援だけではなく、複数の自治体や教育委員会との間で、授業の効率性や質の向上のための新たな取り組みが進み始めている。

「一般的にオンラインのサービスは、都市部の感度の高いユーザーが使ってそれが広まるのがパターン。でも、『勉強サプリ』特に地方の子ども・保護者からの反応が強い。より良い教育サービスに対する渇望を実感します」

すべての子どもたちに、最高の教育に触れるチャンスを。その想いを胸に、『勉強サプリ』は、更なる進化を目指していく。

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