RMP FEATURE

RMP FEATUREカンパニー

子どもの貧困を、産官学で考える。
「子どもの貧困と教育環境格差に関する
シンポジウム」共同開催。

2016年11月17日、リクルートマーケティングパートナーズ(以下RMP)が運営する「リクルート次世代教育研究院」の呼びかけにより、官民学共同の「子どもの貧困・教育環境格差に関するシンポジウム」が開催された。異なる組織、立場で貧困問題に対峙している関係者たち約200名が全国から集まり、現況と今後必要な対策を共有する場となり、このような機会は、おそらく日本でも初の試みだといわれている。
日本の子どもの6人に1人が相対的な貧困に苦しんでいると言われている現代で、社会として、そしてRMPとして出来ることとは―。

2016-12-15

「学びたい」と願う子ども全てに、
その機会を与えたい

貧困という言葉でまず思い浮かぶのは、衣食住に関する経済的な問題かもしれない。もちろんそれらは生活の基盤だが、「教育」もまた貧困とは切り離せない重要な問題である。現代の日本では教育環境格差が生涯所得に及ぼす影響が大きく、学びの機会を失うことで貧困から抜け出す機会も逃してしまう可能性が高いからだ。

「経済的貧困やそれを起因とする教育環境格差の改善に、多くの自治体や学校、企業、団体が積極的に取り組まれていますが、一方で知見の共有がほとんどされていないことに気付きました。教育環境格差の問題は根が深く複雑で、どこか一部の機関が尽力するだけで解決できるものではありません。今まで個々で打っていた施策とその結果を共有し、横のつながりを持ち連携を図ることで、より積極的で効率的な支援が実現すると考え、シンポジウム開催に至りました。」シンポジウムの声掛け人であるリクルート次世代教育院長 小宮山利恵子は語る。

その後自治体への実施呼びかけから始まり約1年の準備期間を経て、学校、NPOやNGO団体、貧困問題を研究する学術機関、CSRで問題に取り組む企業などが一堂に会するシンポジウムが実現した。

RMPには、誰もが良質な教育を安価で受けられるようにと立ち上げたオンライン学習サービス「スタディサプリ」がある。このサービスをはじめとし、教育とテクノロジーの融合により子どもの学び環境を一層充実させていくことを目的にRMPが設立したのが「リクルート次世代教育研究院」だ。

研究院が取り組むのは、次世代の教育に関する調査の実施や情報発信、そして教育環境格差についての分析や研究などだ。その活動として全国の学校や自治体を巡り、教育と支援の現場を見続けてきた小宮山は、シンポジウムの冒頭、その想いをこう語った。

「全国の学校を回る中で、経済的貧困に直面する数多くの子どもにも会いました。満足な食事を得られない小学生、自分の時間を削って兄弟の世話する中学生、一家の生計を支える高校生。こうなると日々の生活を続けることで精一杯で学ぶ意欲は湧きません。もし意欲があったとしても経済的貧困により思いが叶わないケースが多いのです。」

リクルート次世代教育院長 小宮山利恵子

「私は、学びたいと願う子ども全てにその機会を与えることが、自分の使命であり、RMPの使命であると思っています。学校教育の中にテクノロジーが入り始めた現代では、大きな費用を掛けずとも学習を充実させることが可能になってきました。つまり、従来よりも質の高い教育を提供できる環境が整いつつあるということです。衣食住のサポートは非常に重要ですが、さらに教育的観点を合わせたサポートを考えることで、支援をより充実させることができるはずです。“教育は国家百年の計”という言葉の通り、子どもの支援はそのまま国の未来を形づくることにつながります。このシンポジウムでは、集まった皆様とともに貧困を考え、少しでも多くの子どもたちが学ぶ機会を享受できる環境を作りたいと思います。」

産官学での知見の共有が、
積極的で効果的な支援を進める道

シンポジウムには、自治体、民間企業、CSR関係者、学術機関などから約200名が参加。異なる場で同じ志を持つ参加者たちを前に、貧困の全体像と実態を把握するためのパネルディスカッションと、統計データを参照しながら現状を概観した上で、社会が取り組むべき施策の提案がなされた。

パネルディスカッションでは、本シンポジウムを共催する“子どもの未来を応援する首長連合”の会長でもある、佐賀県武雄市長の小松政氏ほか9名が登壇。支援方法や支援先、向き合う子どもの年齢を異にする関係者たちが揃い、産官学といった所属の枠を超え、現在の状況や成果、改善点、そして要請したい協力や試みを述べ合う時間となった。自治体が企業やNPOとともにプロジェクトを組む際に大事にしていること、NPOから要請したい行政だからこそ可能なこと、企業経営者が出来る支援、また連携を求めたくてもそのルートがないといった課題など、フィールドが異なるからこその視点の違う内容が語られた。

数々の意見の中で、多くのパネリストが訴えていたのが、“一般の人が貧困を自分自身の問題として捉えること”の必要性だ。数年前と比べると貧困問題の認知度は高まったとはいえ、経済的困窮に直面しない立場からすると他人事のように感じられる傾向が強いもの。「その意識を変えるためには“貧困”と“教育格差”といった言葉を、一般の人にも共感しやすいメッセージに置き換えなければならない」との意見に参加者たちが頷く場面も。

もう一つ多く挙げられていたのが、長期的な支援の重要性だ。経済的なサポート、子どもと向き合う教師など人材の育成、ボランティアの継続と、切れ目のない支援を続けてはじめて、貧困解決の可能性が生まれると言えるだろう。

ディスカッションの最後に、佐賀県武雄市長の小松氏はこう訴えかけた。

佐賀県武雄市長 小松政氏

「既に目の前に存在する貧困だけでなく、困窮に陥る可能性をはらんだ家庭や子どもも数多く存在し、そこへのケアも早い段階から行っていく必要があります。また、貧困の連鎖を断ち切るには、子どもが就業するまで約20年間の継続的なサポートが欠かせません。
この事態に自治体は覚悟をもって臨むべきであり、また政府からの補助金においても単年度予算ではない長期的な視野をもった支援を期待しています。」

パネルディスカッションに続く特別講演では、シンポジウム共催者でもある、慶応義塾大学准教授の中室牧子氏が登壇。様々な研究データから見る“貧困が子どもにもたらす最大の弊害”“経済的観点からみた貧困連鎖を断ち切る施策”について語った。

慶応義塾大学准教授 中室牧子氏

「保護者の社会階層が子どもの学力に影響する、ということを示した研究は数多くあります。しかし、問題はその“社会階層”の中身です。最近では、保護者の所得の低さよりも、社会階層による“学習意欲や努力の格差”に注目する研究も少なくありません。つまり、貧困の世代間連鎖を断つためには、単純に経済的な支援をするだけではなく、ノーベル経済学賞受賞者のヘックマン教授が提唱するように、家庭における“愛着”“支援”“励まし”“刺激”が不足していることこそが大きな問題であり、社会がそれらをどのように補完的に提供していけるかが重要なのではないでしょうか。」

「また、これらの実行にあたり具体的な施策を考えるためのボトルネックとなっているのが、データの不足です。自治体によってデータが収集されても、大学の研究者やシンクタンクなど分析のプロの目線が入らない検証では、有効な打ち手を生み出すことには限界があります。データは自治体が整備すべき大事なインフラであり、それを適切に公開することが重要です。」

シンポジウムを終えて、今回のシンポジウムの発起人である小宮山はこう振り返る。

「シンポジウムを通して、貧困問題解決には各々のアセットを持ち寄っての連携は不可欠であることを改めて認識しました。しかし、パネルディスカッションでも話題に上がっていたように、連携をしようにもそのルートが見いだせないことも少なくありません。そのマッチングとしても、このような場が必要だと感じます。こういった役割も含め、またコンスタントに貧困の現状を訴え続ける場としても、今後もシンポジウムを継続していきます。

またRMPとしても問題解決への貢献を続けていきます。“スタディサプリ”では、蓄積された学習履歴データ等のビックデータ解析により、学習する本人の習熟度に合わせた学習が可能になりつつあります。置かれている環境に左右されることなく、その子どもに適した学びを恒常的に届け続けること、現在の技術をさらに向上させることで、RMPも企業の立場から、貧困解消を加速させたいと考えます。」

RMPの教育環境格差への挑戦は、これからも続いていく。

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