RMP FEATURE

RMP FEATUREカンパニー

投資家・今野穣×社内企業家・山口文洋が語る
「新規事業創出の鉄則とは?」

リクルートマーケティングパートナーズ(以下RMP)のDNAを繋いでゆく、新規事業提案制度「New RING byRMP」が今年もいよいよスタートした。7月5日に開催されたキックオフイベントでは、『SmartNews』『Akatsuki』などへの投資を手掛ける(株)グロービス・キャピタル・パートナーズのジェネラルパートナー・COOを務める今野穣氏と、オンライン学習サービス『スタディサプリ』の立ち上げを手掛けたRMP代表取締役社長山口文洋が登壇。「新規事業を創る鉄則とは?」「新規事業への投資判断のポイントは?」などをテーマに、新規事業のプロフェッショナルたちが持論を展開し、語り合った。

2016-07-28

登壇者プロフィール

今野  穣氏
(株)グロービス・キャピタル・パートナーズジェネラルパートナー・COO
日本有数の投資家として、SmartNews・Akatsuki・Akippaなどのサービスなどへの投資・成長サポートを多数手掛ける。

山口  文洋
(株)リクルートマーケティングパートナーズ 代表取締役社長
ITベンチャー企業にてマーケティング・システム開発を経験したのち2006年リクルート入社。社内の新規事業コンテストでグランプリを獲得し、オンライン学習サービス『受験サプリ』の立ち上げを手がける。15年4月より現職。

「社内の“新規事業コンテスト”でグランプリを獲れずして社外のキャピタリストから投資を勝ち取ることはできない―山口」

挑戦を続けること、それこそが新規事業の醍醐味。

山口:まずは、僕の方から自分自身の経験も踏まえて、新規事業を立ち上げるということについてお話ししたいと思います。
スタートアップ企業からリクルートへ転職し、New RINGグランプリを経て“受験サプリ”を立ち上げた自分には、『リクルートを辞めて、会社を作ることは考えていないのか』という質問がよく投げられる。けれど今僕は、自分からは、独立や新事業といったことは気軽に言えません。リスクを背負って社外に出て、知らない人から多額の資金を得て何かを成し得ることは、社内で新規事業をやることと雲泥の差があると思うからです。
この会場のメンバーの中で、RMPでずっと働き続けようと考えている人はどのくらいいますか?どちらかというと、RMPはステップアップ的な場所であり、いつかここを出て友人たちと起業、という未来図を描いている人が少なくないはず。であれば、今のうちに1、2度の失敗は経験するべきだと思います。

山口:社内の新規事業コンテストですら勝てないのに、ここを出た後にキャピタリストから投資を得られるはずがない。社内の新規事業コンテストでグランプリを獲って、事業を作り、きちんと成立させるレベルまで到達すればこそ、社外に出て一旗あげることも現実味を帯びてくる。だから、1年目で落選したくらいで投げだしたりせず、挑戦を続けてほしい。認められず突き返され続けても、実現への道を手繰り寄せること。それこそが新規事業に挑む醍醐味だと思います。

お祭り参加気分が、いつしか本気の挑戦へ。

山口:“いつかは新規事業を”“ちょっと興味があって”といった、まだ本気レベルに達していない人もNew RINGbyRMPは歓迎します。先輩や仲間を誘って飲みに行き、『RMPにこんな事業があったら面白い』という案を出し合ってみる。その中で一番盛り上がったアイデアを、お祭り参加気分でエントリーしてみる。最初はそんな一歩からでいい。

山口:これを繰り返していくと、ある時、もうお祭り気分では済まないと思う瞬間が訪れるはずです。『このひらめきは、今はまだ誰もが見過ごしているアイデアだけど、絶対に実現させた世界をこの目で見てみたい』?人は人生のどこかでこういう瞬間に巡り合うものだと思います。
その瞬間、実現のためにグランプリを獲りたい、事業を確立させたい、そのためなら人に助言を求めもするし、僕へのアポイントも確保してしまう。そんな本気は、チャレンジする中でふっと湧いてくるものだと思っています。この“本気になれる体験”とそこから湧き上がる高揚感を経験してほしい。そこには生きているという実感があるはず。まず始めるべきは、チャレンジだと思うんです。

「リクルートから起業家が出る仕組みが機能すれば、
日本における強い産業創出につながるかもしれない。―今野」

“コンプレックス”や“エゴ”は、新規事業創出のエンジン。

今野:投資するかどうか、その視点は2つに分かれます。
ひとつめの視点は市場の存在。今回のグランプリ獲得も、市場をどこに特定するかが大きく影響すると考えます。まず、有望なのは“不可欠で不可逆な市場”であること。たとえニッチであっても一番になれる市場のことです。特に重視すべきは不可逆性の高さでしょう。例えば、TVがネットへ代わるという流れは決して変えられないものでした。身の回りにある不可欠、不可逆なものを探してみてください。単なる大きさだけにつられてはいけない。

今野:また、市場やユーザーに変化が起きているにも関わらず、既存のプレイヤーがイノベーションのジレンマに陥ってる市場であること。近道はもしかすると、RMPの既存事業をディスラプトする、そんなアイディアを考えることかもしれません。5-6年前に若くして上場した会社の多くが、リクルートが作り上げた事業の逆側を突いていたという事実もあります。
そして、面倒くさい市場を狙う方がいい。お金にものを言わせてスケールできる市場だとパクられて追い抜かれてしまう。気付かれないうちにポジションを取るには、人がやろうとしないことをすることがポイントだと思います。

今野:ふたつめの視点は、そのチームが“勝てるチーム”かどうかで、投資家が重視するのは実はこちら側です。チームの最初の3名が、どれだけの強い想いを持ち、価値観を共有しあえているチームなのか。別の同プランを持っているチームよりも、どれだけ強い思いを持っているのか。新規事業を立ち上げる中で、最後まで粘れるかどうかはスキルではなく、実はこの“想い”の部分に掛かっている。その想いがどこから来るかというと、コンプレックスやエゴだと私は思っています。事業を考える際は、自分のコンプレックスやエゴは大事にしたほうがいい。
そしてそのコンプレックスやエゴは自己満足や単なる承認欲求ではなくて、自分たちの想いを実現し世の中に価値を提供するために、例えば自分よりも優秀なメンバーを仲間に出来るかと言った、社会に向いたものでなければならない。

今野:明日から是非皆さんにやってほしいことは、まずはとりあえず100個の不便やアイデアを書き出してみること。最近急成長しているとあるサービスは、たった一人の女性社員が書いた“不”から生まれました。この場にいる一人一人が不平や不満・不安を100個ずつ挙げれば、どれかは当たるビジネスになるはず。ぜひこの一歩からチャレンジしてほしいですね。

「ベンチャーは、リクルートだけには目をつけられたくないと思っている――今野」
「投資力があり、気持ち良い仲間が揃うRMPだから、
やりたいことを最速で成し遂げられる――山口」

“何をやるか”よりも“誰とやるか”

 山口:ではここからは、日本有数のキャピタリストであられます、今野さんに僕の方からいろいろと質問を投げかけていきたいと思います。今野さんは、投資を考える際は、その個社の実行推進力と想いの強さを大事にされているとのことでしたが、投資判断に至るまでに、どんなところを見たり、どんな付き合いをするのでしょうか?

今野:ほとんどの案件が、実は出会ってすぐではなく、出会いから1~2年後に動き出します。私たちが優先しているのは、まずは、いい人たちとできるだけ多くのネットワークを築くことです。つまり、最初は“その人自身”を見ていると言えます。
その中の誰かが起業に関わる時に、いつでも私たちに声が掛かる状態にしておきたい。投資を決断する際には極論、『この人だったら、損してもいいや』と思えるかどうかが大きかったりする。投資家にそう思わせる魅力的なチームを作ることも、とても大事だと思います。

山口:New RINGbyRMPでも“何をするか” とともに“誰がするか”をよく見ています。私が 『受験サプリ』を本気で実現したいと思った時に実感したことは、投資側に『こいつらなら、懸けてもいい』と思ってもらえることの大切さ。そのために大事なのは結局、日々の仕事で信頼に応えることなのだと思い至りました。新規事業を生み出すことと日々の仕事って一見別物に見えるんですが、僕はそれらは日常はつながっていて、決して切り離せるものだとは思いません。

営業こそ、新規事業の萌芽を真っ先に感知できる存在

山口:RMPは、社員の約半数が営業職です。今野さんから見て、新規事業という視点で、“営業だからこそできること”とはどんなことだと考えられますか?

今野:実は、特に法人向けサービスのベンチャー企業って、営業が全く足りていない。技術があれば勝手に売れると勘違いしている。実はどんなに大きなグローバルベンチャーも法人向けにはしっかりとした営業組織を持っている。事業がスケールする時には、“営業”が必要不可欠なんです。そこを上手く取り入れた事業プランを練ることができれば、マーケットではとても重宝されるはず。市場で勝てる要素も十分あると思います。

山口:最近僕も社外の方から『営業が足りないから、誰か紹介してくれ』と、頻繁に相談を受けます。それは、営業が会社の中で一番、“現場のジレンマ”を嗅ぎ取れる仕事だからだと思います。今求められているサービスや流行の兆しを見せ始めた事象、そして世の中やその市場が抱く“不”、それを最前線で見つけられるのが営業。それらは経営陣からはなかなか見えないものです。
そして、その“現場のジレンマ”や“不”をその目で見てしまって、何としても解決したいと強い想いを持つ人こそが、リーダーになるべきだと思います。つまり、営業の人が現場で見つけた小さな種さえあるなら、その人がトップとしてチームを率いることができる。スキルはチームづくりで何とでもできる。なのでNewRINGbyRMPにも、是非営業メンバーにこそチャレンジして欲しいと思っています。

RMP存亡を懸けた、根絶やしにしてはいけない文化

山口:今野さんは外から見ていて、RMPという会社の今後について、どう考えられていますか?

今野:ユーザー課金ビジネスの弱さ、そして国内のクライアント向け広告ビジネスのほとんどが既に十分なマーケットシェアを持っていること。それを踏まえると、成長できる部分をどこに持ってくるかが課題なのではと見ています。RMPは、イノベーションのジレンマに陥っているのかもしれない、と感じます。

山口:同感です。私も、RMPは破壊と創造をしなければいけないタイミングなのかな、と考えています。RMPの面白さは、破壊的創造を新規事業でしながらも、既存事業がイノベーションのジレンマに入っているという、相反するものを内包しているところ。双方を味わえる点で学びの部分が多く、ここから壁を乗り越え、何かを作っていけるかが、生き残りを決めると思うわけです。マーケットの中心で、カスタマーやクライアントの顕在的・潜在的な不を発見し、それを心の底から変えたいと思うイントレプレナーが出ない限り、RMPの歴史は続いていかない。そんな危機感を抱いています。

今野:リクルートほど優秀な人材が多く所属する会社はなかなか世の中にはない。アイデアや切り口を見つけた後の実行力は脅威だと思います。ベンチャー企業は、正直リクルートだけには目を付けられたくないと思っていますから(笑)。今がリクルートの潮目であることは間違いがない。ここから新たな切り口が出たら、大きなビジネスになるのではないかと思います。こんなに資産のある会社の後ろ盾を受けて、事業プランを考えられるのは大変恵まれていると思います。そしてこのNewRING byRMPをきっかけに、外で起業する人が増えると嬉しい、というのが私の本音です(笑)。

山口:僕自身は、少しでも早く“世の中を変えたい”と考えるなら、社外のアントレプレナーに負けない生き様や覚悟を持ったまま、巨大資本を保ち、一緒にやれる仲間も最速で揃うRMPという会社で事を為したいと思っています。“イントレプレナーの唯一価値はRMPにあり”というところを、僕自身が見せていきたい。もしその先でまた新しい挑戦に出会ったとしたら、その時は皆さんのロールモデルになる形で、かっこよく外に出ていけたらな、と思います(笑)

RMPイントレプレナーたちの第一歩は、身の回りに存在する数多くの“不”を見つめることから始まる。その中から小さな“種”をすくい出し、まだ誰も気付いていない手法で光を当てて、仲間とともに大きく育てることができるのか。
RMPの未来を切り開き、社会の“不”をも解消する可能性を秘めたNewRING byRMPへの挑戦は、今始まったばかりだ。

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