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RMP FEATUREカンパニー

保育の世界を変えたい。
あるリクルート社員が考えた、新たなアプローチとは?

保育にまつわる問題は、日本の将来を考える上で避けては通れない社会課題だ。国や企業が日々解決に知恵を絞る中、たった一人の社員の着想から立ち上がったサービスがある。保育の世界をより豊かにする事を目指し2016年3月にスタートした『kidsly(キッズリー)』だ。リクルートマーケティングパートナーズ(以下RMP)の新規事業コンテスト「NewRING byRMP」に応募した中途社員の着想から生まれた同サービスは、リリースから約1年半を経て、現在600を超える園に導入されるサービスへと成長した。最近では、現場からの大きな期待に後押しされるように、保育園の業務負担軽減や離職防止に関するサービスなど、保育業界が抱える本質的な課題に向き合う新事業を展開し始めている。サービスの成長を支えているものは、何か?

2017-09-28

保育に、より豊かなコミュニケーションを
一人の社員の小さな気づきが、大きな社会貢献事業へ

2016年3月よりサービスの提供を開始したkidslyは、リリース後1年で500園以上の保育園・幼稚園・学童に導入され、同年10月にはグッドデザイン賞に選ばれ、「グッドデザイン・ベスト100」「未来づくりデザイン賞」を受賞。新聞・TVでも取り上げられるなど、社会から大きな反響を呼んできた。その展開は単なるサービス提供にとどまらず、2017年3月には園経営の課題解決に向けて保育支援を行う株式会社フレーベル館と提携、2017年4月からは東広島市へkidslyを試験導入するプロジェクトも始動するなど、ステークホルダーや産官連携などに精力的に取組んでいる。

発案者の森脇 潤一は、「とにかく新規事業で社会貢献がしたかった」と話す。「前職は広告代理店に勤務していたのですが、社会に貢献する事業を自分で生み出したくて、RMPに転職してきました。小さな子どものいる友人が亡くなった事をきっかけに起案したkidslyですが、事業化を通じて関係者から大きな期待をいただくサービスへと成長しました。新規事業は苦難の連続ですが、課題を一つ解決するたびに多くの人が喜んでくれる。転職前に描いた未来図を、まさに今実現している最中です。」

精力的な事業展開を行うkidslyチームは、今年4月、保育士のコンディションを診断できる『保育者ケア』という新サービスをリリースした。事業化以降、過去4年で数百を超える保育園を訪問した森脇はこう語る。「kidsly導入にあたって多くの保育園を周る中で、"保育士の離職"という大きな課題が見えてきました。保育士不足の昨今、保育士の離職はどの園でも大きな痛手です。年度末の急な離職で新しい保育士を雇いきれず、新年度に開設するクラスを減らさざるを得ない、という話も耳にしました。このままでは待機児童がより増加してしまう。そう感じました。」

「ところが園長先生に離職原因を聞いてみると、"その人がなぜ辞めたのか"という決定的な理由を把握できていないケースが非常に多かったのです。保育士がどんな想いや状態で働き、どんな理由で辞めるのかを適切に理解してコミュニケーションを取らないと、本質的な離職防止にはつながりません。保育士にとっても、子どもと関わる仕事に就くことを強く願い、学校に通って資格を取った人たちばかりです。彼らが幸せに働くためにも、kidslyがコミュニケーションまでお手伝いをすべきではないか。そう考えるようになっていきました。」

こうしてスタートした新サービス『保育者ケア』。杉並区を中心に幼稚園・保育園などを展開する社会福祉法人風の森 野上 美希統括は、保育業界を変える画期的なサービスだと感じたという。 「保育は人と人とが接する仕事ですので、なかなか業務の効率化を図りづらい面があります。労務負担の軽減だけでなく、豊かな"コミュニケーション"の成立を目指す必要があるのです。だからこそ、kidslyが、多くの保育園に受け入れられているのではないでしょうか。特に、いま大きな問題となっている人手不足に対して正面から切り込んだ『保育者ケア』は、保育の現場を少しでも良くしたいと本気で願うkidslyならではのサービスだと感じています。待機児童の解消、人員増による保育の質的向上や負担軽減など、保育が抱える多くの課題を改善する可能性を秘めたサービスに、大きな期待を抱いています。」

"なぜ辞めたのか"こそ、保育士確保の重要な鍵
『保育者ケア』が保育士の悩みを解きほぐす

現場の兆しから生まれた『保育者ケア』-"なぜ保育士は辞めてしまうのか?"という問いの裏には、本質的な社会的背景がある。厚生労働省では保育士確保プランとして、今後必要となる46.3万人の保育士確保に向け、幼稚園教諭の特例制度や保育士の処遇改善など、様々な施策を展開している。特に注目されるのが、保育士資格を有しながら保育園に勤めていない、いわゆる潜在保育士の存在だ。約76万人とも言われる元保育士の方々に職場復帰を促すために、処遇の改善や就業支援などのアプローチを行うよう計画している。

元保育士の復帰を促すにも、"なぜ辞めたのか?"の理由を把握し払拭することは大きなポイントとなる。データを見ると、全ての年代において職場環境における離職の上位理由は、実は「人間関係」によるものだ。(出典:平成23年度厚労省委託事業 潜在保育士ガイドブック)20%以上が人との不和・考え方の相違が原因で離職しており、その数は「雇用条件に不満」「職場における本業以外の業務負荷」といった待遇・業務面の理由と比較してみても圧倒的に多い。つまり保育園における"コミュニケーション"が改善されない限り、潜在保育士の再就職への不安は残り、また現役の保育士が辞職する可能性も残ってしまう。だからこそ、森脇は『保育者ケア』の開発に踏み切ったのだ。

同サービスの実証実験に参加した、まつやま大宮保育園の松山圭一郎園長はこう語る。「以前から、保育士の顔色や表情を見て、おかしいと思えばこまめに声をかけていました。定期的に面談もしていたのですが、面談をする側のスキルにも差があるし、本音をきちんと聞き出せているのか、課題を感じていたのです。」

「いざ『保育者ケア』を導入してみると、一見すると明るく頑張っている保育士たちが実は悩みを抱えていることも明らかになって、最初は軽くショックを受けました。でも面談をする中で、保育士の方から家庭での問題などについて打ち明けてくれるようになり、一人ひとりの悩みにしっかり向き合うことが出来たのです。保育士自身も、自分の悩みを客観的に見ることが出来て、前向きに解決に取り組んでくれた事も大きな成果でした。」

『保育者ケア』を受けた保育士は、どのように感じているのだろうか。年長クラスを担当するHさんは、自分から相談できない性格で悩みを抱えがちだったという。「年長クラスは、園行事において周囲からの期待も高く、責任も重い。ちょうどその時期に私事でも悩みがあったので、周囲から心配されるくらい落ち込んでいました。そんな時に『保育者ケア』の面談を受けて、自分がすごく思いつめている事が客観的にとても良くわかりました。冷静に自己分析や心の整理が出来ると、次の目標を考える余裕につながるんだな、とつくづく実感しました。」

同保育園で主任を務めるOさんは、他園からの転職者だ。「前の園でもリーダーを務めていたので、最初は軽い気持ちで入職したんです。でも、前の園とは違う考え方や行動に大きく戸惑ってしまって、今までの保育士の経験を全て否定された気分でした。そんな時に保育者ケアを受けたので、"今の職場で働くことに迷いがありますか?"という設問に思わず"はい"と答えてしまったんです。面談で冷静に話すうちに、園ごとの違いやここでの業務で期待されている事を聞いて、すごく前向きになりました。面談が終わった後のスッキリした気分を、今でも覚えています。」

松山氏は、コミュニケーションの改善は離職者の防止だけでなく、保育の質的向上にも貢献すると話す。「子どもって、ほんとうに保育士を良く見ています。笑顔がない保育士には近寄ってこないし、信頼も生まれない。人と人のコミュニケーションで成り立っている職業ですから、心のケアはとても重要です。『保育者ケア』を通じて様々なデータが集まれば、目指す良い保育園のあり方が見えてくるはず。事例を自分たちの園に活かそうとする流れが業界全体に広まっていけば、資格があっても保育士になりたくない、という潜在保育士の問題も少しずつ解消していくのではないでしょうか。」

RMPだからこそできる、
社会課題への向き合い方

森脇らkidslyチームはいま、保育業界の活性化を目的としたセミナー「こどもみらいラボ」や、保育者の対話型フォーラム「ほいくシンク」など、保育園の園長やステークホルダーの方が交流する場を開催することにも注力している。

RMP代表取締役社長の山口 文洋は、「社会課題は、その問題が大きければ大きいほど、単一のソリューションだけでは解決できません。保育士不足を解決するには、待遇の改善と共に、働く人のモチベーション向上や、経営層の啓発・ナレッジ共有など、様々な打ち手が必要です。日本の"働く"に関わり続けてきたリクルートだからこそ出来る事は多くあると思っています。」と期待を込める。

今後の展開について森脇は「とにかく園の経営課題を解決する手助けが最優先。」と話す。「『保育者ケア』に付随した研修・育成サービスや、ICTによる業務負担軽減のラインナップなど、多くの事業を検討しています。人と人がより良いコミュニケーションで結ばれることで生まれる効果は計り知れません。結婚から出産、育児などのライフイベント領域に広く深く関わるRMPだからこそ出来る事が多くあるはずです。子育てに関わる方だけでなく社会全体で"良い保育"について考え、多くの子どもが幸せに育っていく。それが、私が想い描く理想の保育の姿です。」

「子育てをもっと楽しく、もっと豊かに」。揺るぎない信念のもと、kidslyの進化は続いていく。

[ 今 回 登 場 し た 社 員 ]


森脇 潤一

森脇 潤一

ネットビジネス本部 ラーニングプラットフォーム推進室 事業開発部 kidslyグループ マネジャー

総合広告会社を経て2013年11月入社。アドテクノロジー領域の企画開発、営業チームリーダーを担当。新規事業提案制度「NewRING byRMP」2014年度グランプリを獲得。 以来、一貫してkidslyの事業開発全般に携わる。

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