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『スタディサプリ』も『kidsly』もここから生まれた。
新規事業コンテスト受賞者が語る
-世の中「不」を新規事業につなげるコツとは?

7月28日、リクルートマーケティングパートナーズ(以下RMP)は、新規事業コンテストNewRING by RMPへのチャレンジを考えている社員を対象に特別公開講座を開催。オンライン学習サービス『スタディサプリ』や、保育園向けICTサービス『kidsly』などを生み出した、過去の新規事業コンテストNewRINGの覇者3名が、「世の中『不』を新規事業につなげるコツとは?」をテーマに対談。 『スタディサプリ』や『kidsly』などの新規事業はどのようにして生まれたのか?彼らはどんなきっかけでチャレンジし、どんなプロセスを経て現在の事業化に至ったのか。-当日語られた内容をレポートしていく。

2016-08-18

<ファシリテーター>
執行役員 企画統括室長  渡邊 千洋 

<登壇者> 
西山亮介
2012年度NewRINGグランプリ オンライン学習サービス「スタディサプリ」

森脇潤一
2014年度NewRING by RMPグランプリ 保育園向けICTサービス「kidsly」

伊達貴臣
2015年度NewRING by RMP準グランプリ インバウンド前撮りサービス「ゼクシィ遊愛」 

左から、渡邊 千洋、西山 亮介、森脇 潤一、伊達 貴臣

渡邊: 皆さんこんにちは。今日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。NewRING byRMP特別公開講座をスタートします。
今日は、世の中の「不」を新規事業につなげるコツとは?というテーマで進めていきたいと思います。
お手元に、本日の登壇者の皆さんがNewRINGに応募した当時のエントリーシートをお配りしています。是非当時の臨場感も味わいながら、楽しみながら聞いてみてください。

今のサービスにつながる「不」を見つけたきっかけは?

渡邊:早速ですが、お三方に質問です。
そもそも、今のサービスにつながる世の中の「不(不満・不便・不安など)」は、どのようにして見つけたのでしょうか?では、森脇さんから。

森脇:ちょっとだけ、暗い話になってしまうんですが・・・。僕はNewRINGの企画を考えていた頃、友人が亡くなってしまったんです。彼女は幼い子どもを持つママでした。僕はパパとも友人だったんですが、亡くなった後、彼から泣きながら電話がかかってきたんです。『妻が書いていた子どもの成長記録を見つけた』と。彼は、それを読んで初めて、子どものことを妻に任せきりで、彼女が子育てでいかに大変な思いをしていたかを後で知り、『もっと自分がサポートできることがあったかもしれない』としきりに言っていた。絶対に取り戻せない時間への失望感を、このとき強く感じたんです。この「不」はどこの家庭にもあるはず、でも顕在化せず、みんな大切さに気付く余裕がない振り返って後悔する人は多いのではないか、と思いました。実際に調査してみると、やはり父親は母親ほど子どものことを知らない傾向にあることがわかりました。パパも、ママも、お子さんの情報をちゃんと共有できる仕組みがあったほうがいい、と考えたのが出発点でした。

西山:僕の場合は「不」への課題意識から始まったわけではなく、「やりたいこと」が起点になっています。ユーザーに課金するサービスを手がけてみたいと思っていたときに、山口文洋さん(スタディサプリ立ち上げ時のリーダー/現RMP社長)に「こんなことをやりたい!」と誘われてジョインしました。
実は、テーマは「教育」じゃなくてもよかった。ユーザーへの提供価値を最大化することに興味があったんですよね。

ただ、今は、実際にユーザーと会って意識が変わってきました。すごく感謝されるんですよ、「サプリのおかげで人生変わりました」といってくれる人がいたりして。「教育って、やはり未来を作る人たちのためになるのかな」という気持ちが芽生えてきました。森脇さんのように強い意思を持って始めるのももちろんいいんですが、やりたいことをやっていく中で、現れる「不」の問題に向き合っていく形もある。まずはノリでやってみちゃっていいんじゃないかと思ってます。

 

伊達:ウエディングのインバウンドの話って、実はずっと昔からあるテーマなんです。僕は関わっていないけれど6年ほど前にも事業化を検討していた。そのときは事業化には至らなかったんですが、今は環境も状況も大きく変化している。中華圏から多くの旅行者が来ていて、台湾や香港からの訪日客には特にウエディング目的の人も多く含まれている。今なら市場が伸びる可能性があると考え、着手しました。

では、どんな「不」があったかというと、まず、彼らは日本でウエディングの写真を撮影するために自国からカメラマンやヘアメイクを連れてくる。つまり渡航費なども含めると莫大なコストがかかる。
そしてもう1つの「不」は「撮影したい場所で撮影許可が下りない」ということ。せっかく来日しても、彼らの希望を満たせていない。そうしたニーズに応えるサービスを生みだすことで、ウエディングマーケットの活性化にもつながるんじゃないかと考えたわけです」

渡邊:なるほど。「不」を見つけるために、過去の案件を見直す手もあるということですね。過去と今とでは状況が変わっている市場もあると。

伊達:まさにそう思っています。過去のNewRINGの案件を掘り起こしてみたら、SNSを組み合わせればうまくいくものってたくさんある気がします。シェアリングエコノミーが当たり前になってきている今なら、当時は考えられなかったことも実現できそうに感じています。

「不」やポイントを見つけたとき、最初の一歩として何から始めたのか?

渡邊:その「不」を見つけた後、「じゃあ、どんな一歩を踏み出すのか?何から始めるのか?」ということを難しく感じる人も多いようです。皆さんはその「不」を見つけたあと、実際にどんな一歩を踏み出しましたか?まずは何から始めましたか?

森脇:まず、友人へのヒアリングから取り掛かりました。すぐに子どもを保育園に預けている友人にLINEで連絡。「こういう企画考えているんだけどどう思う?」と、簡単なアンケートをとりました。
お金をかけるわけでなくすぐにできる方法なので、アイデアが出た段階でちょっと聞いてみるといいんじゃないでしょうか。10人に聞いて賛同者がゼロだったらどうかと思いますが、2人くらい「いいね」と言ってくれる人がいればアイデアとして可能性があるんじゃないかと思います。子どもを持つ親の意見を聞いて手応えを得た後、次のステップとして保育士さんたちに会いに行きました。「業務や保護者との関わりにおいて、どういう課題をお持ちですか?」ととにかく聞いてまわりました。

西山:「スタディサプリ」の場合は、すでにマーケットに競合がいる事業モデルなので、競合のサービスと、それを使って勉強しているユーザーの動向を見にいきました。ユーザーにも話を聴きましたね。街中のカフェにに行くと高校生がいるので、「おごるから、話を聴かせてくれない?」と話しかけて。結構話してくれました。

伊達:僕は「インバウンド」というカスタマーと簡単に話ができない領域だったので、まずはデスクリサーチをしました。昔の起案資料を引っ張り出して見たり、最近の訪日客の動向調査などのデータを見たり。そこに加えて、国内でインバウンドの受け入れをしているカメラマンさんに話を聴きに行くこともしました。訪日客にどんなサービスしてるのか、どういうカスタマーが来ているのか、どんなことが課題なのか、など。また、メンバーに台湾人の知人を紹介してもらって話を聴いてみることもしました。
観光庁も訪ねましたよ。予期せぬことに長官と面会することができました。

渡邊:構えていると難しい。学生時代の友人含め、身近にいる「一生活者」にヒアリングをかけてみればいいんですよね。それに、Web上に落ちている既存データからもいろんな推測ができると思います。データって、人に
よって見る視点が全然違う。ありきたりなデータも、見方を変えていくだけで「ここできるかも」を発見できるかもしれない。
ただ、皆さんは第一歩がスムーズでしたが、考えていることをなかなか実行に移せない人もいます。何かアドバイスはありますか?

西山:自分で考えるより、該当カスタマーとクライアントに聞いたほうが早いじゃん、と思うんですよね。現場にいる人の声を聴くほうが、気付けることが圧倒的に多い。

伊達:僕は、ちょっと西山さんと違うタイプかもしれない(笑)
やり方は人それぞれであって、納得しなければ動けないなら、納得できるまで考えればいいと思う。
まずは「考えてみたい」というタイプの人もいてもいいとも思いますね。

西山:僕はこう思います。本当に興味が強ければ、動かずにいられないんじゃないですか。それほど興味なければ躊躇してしまう。考えているテーマやアイデアを、心から自分が面白いと思ってるのかに立ち返ってみてはどうかと。あるいは、最終エントリーの前に、3日間考えて動けなければその案件はやめてしまう、とか。思い切りも大事。あと、誰と一緒にやるかもとても大切なポイントだと思ってます。

伊達:同感です。メンバリングはとても重要だと僕も思います。スキルもセンスも、自分と違うタイプの人と組むことで、前に進めることもある、そう自分自身の経験からも痛感しています。ここは西山さんと意見が合いました(笑)

エントリーまでのプロセスで工夫したことは?

渡邊:では、実際に「不」を見つけ一歩踏み出し、いよいよ立案に入っていくわけですが、皆さんはどのようなことにこだわって設計したり、NewRINGのエントリーの準備をしていったのですか?

森脇:僕は、「そのアイデアに実現性あるのか」をA4紙1枚の中で追求することにこだわりました。細かなデータを盛り込み、投資家から見てどう思われるかを意識して作り込みました。協業先や発注先も事前に見つけておき、「OKもらえれば明日からでもできます」という状態まで持っていった。実際審査員からは、「一番実現のリアリティーがあった」が評価ポイントでした。

伊達:僕の場合は、新規事業を考える時の基本は押さえましたね、市場性はどれくらいあって、そこに対しての「不」はどんなことで、僕らの提供価値はどういう点で、どういうモデルで、どれくらいもうかると見込めるか――というポイントです。
ちなみに、社長の山口さんからのフィードバックでは「チームメンバーがいい」と書いてありました。有名人が参加しているわけではないんですが、違うタイプのメンバーが集まっていたので、その組み合わせがプラス評価されたのかも、と今振り返ると感じます。

NewRING受賞のその後とは?

渡邊:そんなプロセスを経て、NewRING受賞テーマで実際にサービスを立ち上げたわけですが、具体的に今、どんなことにチャレンジしていますか?当初の想定と違っていたことはありましたか?

西山:日本と海外何カ国かで事業を進めています。「安価で質のいいコンテンツを提供する」という根底は変わっていませんが、5年前の僕たちの想定より速いスピードで進捗しています。海外展開は2020年と想定していましたが、Quipperの方々との協力で海外展開も加速しています。
企画段階と異なることといえば、料金の「5000円」ではユーザーが増えず、980円に設定し直したこと。また、「学校の先生からは反発されるのでは・・・」と思っていましたが、「学校で導入したい」という声が挙がってきたのはうれしい誤算でした。マーケットも想いも変わらないけれど、アプローチの方向や時間軸はやりながらアジャストしていっている感じです。それで全然いいんじゃないかな。コアの部分がぶれなければ方法はいくつでもある。

伊達:何度か実際にカスタマーと話すうちに、わざわざ日本に来てウエディングフォトを撮影する真意が見えてきました。日本の風景に惹かれているかと思っていたら、実のところ「チャペルで撮影したいが、自国のチャペルは撮影に使用できない」という声が多く聞かれました。
今後、そのような声にも応えていけるように検討を進めて、日本のフォトジェニックなチャペルでカスタマーニーズに応えることで
日本のウエディングマーケットを活性化できるようにしていければ、そう考えています。

森脇:3月に立ち上げたばかりで、既に130園を超える保育園へ導入決定しています。受け入れられている実感を持っています。「kidslyで保育士さんがモチベーション高く、楽しく仕事に取り組めるためのソリューションを実現できれば」と考え、保育士さんへのヒアリングも進めています。現段階では「kidsly」の導入に後ろ向きな保育園でも、すべての保育士さんに喜んでもらえるサービス・普遍的な価値をきちんと僕らが提供できれば、保育園との関係性を発展させられるんじゃないかと、ワクワクしています。また、海外の保育園からも問い合わせが来ているのは嬉しい驚きでした。お子さんの情報共有に関するニーズは、日本に限ったことではないのだと気づかされました。個人的には、ゆくゆくは世界でも使ってもらえるサービスに進化させていきたいです。

渡邊:海外まで、輪が拡がっているんですね。当初の計画からどんどん書き換えながら軌道修正していくのも、新規事業の面白みかもしれません。
では最後に、NewRING by RMPへのチャレンジを考えている皆さんに、一言ずつメッセージをお願いします。

西山:ライトな感じで参加すればいいと思います。「こんなのあったらいいな」を出してみて、当たればラッキー。お祭り気分で出せばいいと思います。

伊達:NewRINGに出してみて、だんだん形になっていくと、いろんなものが舞い込んでくるのを今、実感しています。たくさんの問い合わせをいただいたり、いろんな方に会いに行けたり、思いもよらぬことが日々起こって楽しい。最初の1歩は気軽にやってみるのがいいと思います。

森脇:NewRINGでの受賞は目的でなく、一手段だと思います。一度チャレンジしてみると、いろんな機会が必然的に訪れるので、見える世界がどんどん変わっていく。小さなアイデアでもどんどんぶつけていってほしいですね。僕も、今までやったことがないようなことをやらせてもらえて、毎日楽しいです。皆さんにもぜひ体験してほしいです。

いよいよ、2016年度のNewRING byRMPは8/22(月)にエントリーを締め切られ、いよいよ一次審査・ピッチコンテストに突入していく。今年はどんな新しい事業の種が生まれ、世の中にどんな新しい価値を提供していけるのか?RMPの挑戦は、ここからまた続いていく。

 

 

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